2015年02月20日

オオイヌホオズキ

#(16226)s.JPG

冬枯れの野で、黄色の葯の目立つ星型の花を見た。真っ白な花弁は古くなると紫色を帯びて、どことなく寂しげな風情を漂わせる。

#(16129)s.JPG

この花はいつでも咲いている。真冬でも次々に咲き、次々に実っていく。こうした季節感のない花はたいてい帰化植物だ。この仲間には在来種ではイヌホオズキがあり、それにそっくりな帰化植物のアメリカイヌホオズキがいたるところにはびこっている。これもそれだと思っていたが、ふとそれにしては花が大きいこと気付いた。径が1cmほどもあるが、普通のアメリカイヌホオズキはその半分くらいだ。帰化植物図鑑を見ると、どうもオオイヌホオズキであるようだ。

#(16224)s.JPG

見分けのポイントの一つに花柄の付き方の違いがある。アメリカイヌホオズキではきれいに1点から飛び散るような形になるが、オオイヌホオズキでは微妙にずれて乱雑な感じになる。しかも1〜2個は少し離れたところに付いていたりする。

#(16132)s.JPG

白い花弁というものは普通は透明感があったりするのだが、これは不思議なくらいにのっぺりと真っ白い。

#(16200)s.JPG

拡大してみたら表面が細かく毛羽立って、ビロードのようになっているのだった。

#(16126)s.JPG

咲いたばかりの花では雌しべが雄しべの塊から突き出ていて何となくかわいらしい。この時柱頭が開いていたら雌性先熟の花ということになるが、どうもそういうことではなさそうだ。ナスには無駄花がないと云われるが、この仲間の花はだいたい同花受粉だ。したがってそれを避けるための先熟とか異型花柱などの工夫があるとは思えない。

#(16131)s.JPG

しばらくすると雄しべは成長して葯が柱頭を包み込んでしまう。葯は塊になっているが、それをかき分けてみたらすぐにばらばらになった。キク科の花のように合着して葯筒を作っているわけではなさそうだ。葯の先端内側に小さな穴が開いて花粉が出ている。ちょうどその位置に柱頭がある。つまり出口と入口がほとんどくっついていて、同花受粉に徹している訳だ。しかしそれでは何でわざわざ花を咲かせるのか、閉鎖花で十分ではないかと思ってしまう。いやそれにしては真っ白い花弁をぴんと広げて、小さいけれどもきれいにしっかり咲いているのが不思議だ。

#(16266)s.JPG

ホオズキという名だが、果実は袋に入っていないでむき出しのままだ。イヌトマトとかイヌナスビなどと呼んだ方がふさわしそうだ。果実はたいてい緑色をしている。かなり経ってから黒ずんでくるのだが、そうなるとじきに消えてしまう。鳥に食べられたと思ったのだが、よく見たら地面にたくさん散らばっていた。それも柄の付いたままだ。これでは鳥も食べにくかろう。そもそもナス科の果実はたいてい毒だという。このような果実は動物に食べられて種子を散布してもらうのが目的のはずだが、それでは何でこんなに食べにくくしているのだろう。もしかしてもっと日にちが経ってドライフルーツ状にでもなったらおいしく食べやすくなるのだろうか。

#(16269)s.JPG

果実を縦と横に切ってみた。ミニトマトのようなものを想像したのだが、それよりずっと種子がびっしり入っていた。ところでこの中に種子よりも小さい球状顆粒というものが4個以上入っていて、自生種にはそれがないため識別点の一つになっているとのことだ。しかしそれは果実を潰してすべての種子を出してみないと判らないからなかなか大変だ。ところで球状顆粒とかいう聞き慣れないものはそもそも何で、何の役にたっているのだろう。単なるできそこないの種子なのだろうか。

#(16246)s.JPG

アメリカイヌホオズキは北米原産だが、オオイヌホオズキは南米原産だそうだ。普通の図鑑にはアメリカイヌホオズキしか載っていないが、ここ薩摩半島南端であちこち見て回ったところ、ほとんどこのオオイヌホオズキばかりだった。海近くの明るい林床を一面に覆うほど繁茂していたりした。この仲間は普通は気にされずあまり知られていないが、今回調べて何種類もあるのが判った。最近でも海外から新しく入ってきたりもしているようだ。身の回りを注意深く見ていたら、これからもいろいろ新しいものに出会えそうだ。
posted by 夜泣石 at 10:34 | Comment(0) | 花草木 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: